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もっとも容易な組織形態は任意団体である。数名の継続的なメンバーによって運営され、団体を統制する者を民主的な方法で選挙する場合に、この組織形態が容易である、メンバーシップが必要である地域・コミュニティの団体としては、任意団体が一般的である。団体の目的や活動を変更する場合には、チャリティ委員会の承認を必要とする。したがって、規約には、団体の目的、雇用に関する権限、管理方法、名誉会員、運営委員会、会員、総会の運営方法、清算、規約の改正、新会員などに関する規定が必要となる。任意団体には法人格はないため、第三者との契約などはトラスティの個人名で行うことになる。ただし、資産管理を担当するトラスティを任命しておくことによって事務処理を簡略化することができるし、また資産管理トラスティとして銀行などを任命しておくこともできる。資産管理に関して、その法的な責任を個人が負うことになるため、瑕疵がない場合には一定の範囲で免責されることを規約に明記しておくことができる。
数名の人々(3〜9人)によって運営され、それほど多くの人を雇用しない場合には、トラストの形態が用いられている。メンバーシップが不要で契約にかかわらない場合には、一般的にいってトラストという形態が適している。この組織形態でチャリティを設立する場合、トラスティの数、任期、任命方法、交替、定年、運営の方法、雇用に関する権限、規則制定に関する権限、資産処分の方法などの規定を含む規約を設けることが望ましいとされている、しかし、トラストという形態は法人格ではないため、財産等はトラスティの名で保有されなければならない。トラスティとしてならば、契約を結び、裁判に訴えたり訴えられたりすることは可能である。その意味で、トラストという形態の欠点として、トラスティが変更になった場合、財産等の名義を変更しなければならないことである。
多くの資産を管理し、多くのスタッフを雇用し、第三者と契約を結び、リスクのある収益事業にもかかわる場合には、法人格を有することが望ましいと考えられているが、法人格は保証有限会社という形態となり、チャリタブル・カンパニーと呼ばれている。この形態の場合には、契約を締結したり、団体の名前で法的な行為を行うことができる。会社形態であるが、取締役という名称を使う必要はなく、理事会(Council or general committee)でよいとされている。しかし、会社法(Companies Act 1985)の適用は受けることになるので、理事会が取締役の権限と責任を負うことになるが、破産法(Insolvency Act)の規定する違法取引などについての個人責任は完全に免除される。理事の権限を超える行為については、慈善にチャリティ委員会の承認が必要とされる。しかし、会社法の規定と同時に、チャリティ法の規定にも従うため、登録が二重となり、また会計責任が厳しく問

 

 

 

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